これからの欧州は電気自動車となるのか

 14日に熊本県で最大震度7、マグニチュード6.5の地震が発生し、熊本県内では505ヶ所に避難所が設置され約4万5000人が避難されています。電気やガスなどのライフライン、九州新幹線など交通機関に影響でており、現在も断続的に余震が続いていることか、被災地の方たちは十分にご注意ください。一刻も早い復旧をお祈りいたします。

 さて、先日テスラ・モーターズが新型の電気自動車を発表し予約が殺到したことで、今後電気自動車は日本でも普及するかという話題に触れましたが、今回の熊本地震の被災地において三菱自動車のPHEVアウトランダーが思わぬ活躍を見せています。

 PHEVとはプラグインハイブリッド車のことです。ハイブリット車(HEV)はエンジンとモーターを組み合わせたものであり、ブレーキ時のエネルギーを再利用することで電池を充電するものです。プラグインハイブリット車の場合、回生ブレーキからだけでなく家庭用電源や専用電気スタンドからも電池を充電することができる車のことを言います。ハイブリッド車と電気自動車のいいとこ取りをした車と言えるでしょうか。

 PHEVは電池を積んでいますので、アウトランダーはこれを電源として活用できることを売りのひとつとしています。アウトドア用の電源として宣伝しており、「クルマは移動するときにだけ使うものではない」というのがキャッチフレーズのようです。今回、これを災害時の非常電源として活用した模様です。駆動用バッテリーとエンジン発電により、最大で一般家庭電力量の10日分を賄うことができるとされています。
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/outlander_phev/electricity/

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 ちなみに、世界各国のEV・PHEVの販売データを調査しているEVsalesによれば、2015年度ヨーロッパ販売台数No.1の車種だそうです。あ、うちの車には三菱自動車はないので、別にステマではありませんよ。念のため。
ヨーロッパでのEV・PHEV販売台数【2015年間ランキング】

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EUの大気汚染物質排出規制は厳しすぎる?

 1993年にEUは自動車による大気汚染物質の排出規制値を定めた「EURO1」を導入したことで、路上に排出される有害物質の量を低減させるべく努力を続けてきました。この規制とは、1km走行するのに排出できるCO2、NOx(窒素酸化物)、PM(粒子状物質)は何グラムまでと制限するものです。

 ヨーロッパではガソリン車よりディーゼル車の方が人気です。これは燃費がガソリン車より優れていること、国土が広く高速道路でのパフォーマンスが良いディーゼル車が好まれていることなどが理由です。年配の方ですと、ディーゼル車といえば黒煙をモクモクと上げてるイメージがあるかもしれませんが、欧州の各自動車メーカーはクリーンディーゼル技術を用いることで、環境や健康に対する問題について取り組んできました。

 時は流れて大気汚染物質の排出規制値は厳しくなっていき、2015年からはEUで新たに販売される新車はすべて「EURO6」の規制値をクリアしなくてはならなくなりました。2017年からはEURO6のステージ2と呼ばれるより厳しい基準になる予定となっており、2020年までにはヨーロッパで発売される新車全てが1km辺り0.080gの窒素酸化物を排出することを最終目標としています。

 環境と健康を守るためには大事な排出規制ではありますが、そのあまりの厳しさに欧州の自動車メーカーは悲鳴を上げているようです。
ヨーロッパの新排ガス規制に、EU自動車メーカーが悲鳴
欧州の自動車メーカー、EURO6の目標基準値を達成できないと主張

 クリーンディーゼル技術では2020年までの目標をクリアできないと一部で指摘されており、ディーゼル車のは余命いくばくもないのではないかとも言われています。
欧州車がハイブリッドやEVに積極的な理由。ガソリン/ディーゼルMINIが楽しめるのは今のうち!?

注目される電気自動車

 そこで厳しい排出規制をクリアするために注目されたのが電気自動車です。CO2についてはWell-to-wheelで考えなければなりませんが、原子力発電や風力発電などと組み合わせて利用すれば、よりいっそうの効果を期待できます。

 現在、電気自動車は走行距離や充電設備などの問題が残っていることもあり、各自動車メーカーはPHEV(プラグインハイブリッド)技術に期待をしていると言われています。充電できるハイブリッド車とでも言えばいいでしょうか。

 欧州各国の政府も電気自動車の普及に力を入れています。「電気自動車天国」と呼ばれるノルウェーに次いで電気自動車が普及しているオランダでは、2025年から段階的にガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する法案提出の準備をはじめました。税制面での優遇策なども講じているようです。
オランダ労働党、ガソリンとディーゼル自動車の段階的販売禁止で検討入り

 EVsalesの記事によれば、欧州でのEV・PHEVのシェアは1.25%にすぎません。ただ、昨年の数字で言えば、イギリスで前年同期比262%、フランスでも前年同期から2倍以上に販売台数を増やしています。
米国とは大違い! 欧州では電気自動車の販売台数が急上昇

 クリーンディーゼル技術によりEUの厳しすぎる排出規制をクリアできないとなれば、欧州で電気自動車が普及する可能性は高いかと思います。昨年、オランダでテスラ・モーターズの新工場が稼動し始めたほか、先日のモデル3を発表したイベントにおいてもイーロン・マスク氏が必要であればヨーロッパに新工場を建設するとコメントしています。
テスラ、初のSUV発売 欧州で第2工場立ち上げ
「テスラの誰も、先行販売がこれほど多いとは思わなかった」最新EVの予約注文数

 わずか1.25%しか普及していないということは、裏を返せばこれからシェアを伸ばせるということでもあるので、日本のメーカーにもがんばってもらいたいものです。

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