最近の年金資金の運用

 年金というと、若い人たちは将来たいして貰えないのではないかなどというくらいニュースばかりですが、だからといってしっかり収めていないとある日突然通知が来たり、銀行口座を差し押さえられたりするそうなので気をつけなければなりません。

 世帯所得が1000万円以上あるご家庭の場合、たいした金額貰えないならいらないやとばかりに7.8%の人が未納だそうで、厚労省は強制徴収を進めるなど対策を強化する模様です。

国民年金、1千万円世帯7%未納

GPIFの基本ポートフォリオ

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオは記事執筆時点で次のようになっております。

基本ポートフォリオ | 年金積立金管理運用独立行政法人

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 この資産構成割合は昨年に変更されたもので、それまでは国内債券の割合が6割という安全性の高い投資商品による運用でした。

ハイリスク・ハイリターン

 ポートフォリオの内訳がハイリスクになったことで、短期で見た場合に当然損失が出ることがあります。これは2015年7~9月期の中国経済の減速懸念が出ていた頃で、「それみたことか」とばかりに叩かれております。

株暴落でGPIF運用損 「消えた年金」は2週間で7兆円突破
GPIF改革 株偏重の運用を見直せ

 その後、今月に入り2015年10~12月期の運用損益が発表され、国内外の株価が回復したことにより約4.7兆円の黒字となっております。運用損が出たときのような報道のされ方をされなかったようですが、利益が出たときもちゃんと報道してくれませんかね。

公的年金の運用益4兆7302億円 15年10~12月、GPIF公表

現在の年金の状況

 現在の年金がどのように支払われているのかを2014年度の年金財政を例に見てみます。GPIFの2014年度は収入総額53.4兆円に対して総支出は50.6兆円。差引2.8兆円のプラス収支です。大まかに内訳を見ると、支出のほとんどは年金給付であり、これが50.3兆円になります。

 収入を見ると、加入者保険料が32.6兆円、税金などの国庫負担などが11.8兆円でありこれら合計が44.4兆円なので、このままだと5.9兆円の赤字となってしまいます。

 この赤字分を埋めるために、GPIFは「年金積立金」と言われる、過去に年金を受け取る人が多くなかった頃の年金財政の黒字分を積み立てておいた貯金を運用することで賄っている訳です。年金積立金は昨年末で約140兆円あります。先ほどGPIFの円グラフを紹介しましたが、これは140兆円の年金積立金をどのような資産に割り当てて運用しているのかを示しています。

 ここで気になるのが年金積立金による運用損益がどうなっているのかだと思いますが、2001年に運用を開始してから何度か損失を出しながらも、トータル収益で50兆円あまりの収益を叩き出しています。2014年の赤字分も年金積立金の運用による利益によりカバーされています。

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GPIFの運用方法

 ハイリスクであるとの批判の多いGPIFの運用方法ですが、外部委託して民間金融機関で行っています。資産運用のプロに任せておけば安心ということでしょう。

 ところが、今年のはじめにGPIFが直接株式売買によって資産を運用すると言いはじめました。日経平均を下支えするためじゃないのかなんて噂もありましたが、企業経営に政府が介入するのではないかという懸念もあり、経団連をはじめとして大きな反発を招きました。

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 厚労省は直接投資することで運用手数料の削減によるメリットを強調しましたが、かつて年金積立金の壮大な無駄遣いといわれたグリーンピア事業などを引き合いに出して批判されたことにより、自民党の年金プロジェクトチームは直接株式投資を認めないGPIF改革案で了承した模様です。3年後に再検討するそうです。

年金の株式直接投資見送り 自民、GPIF改革案了承

 その後、政府はGPIFが保有する株式や債券の銘柄などの情報を、一定期間後に開示する方針を決めています。これがGPIFが株式の直接投資に対する布石なのかは定かではありませんが、情報公開によって恣意的な運用への懸念などを払拭する狙いがあるようです。

政府、年金運用情報を開示へ…懸念払拭の狙い

 なお、この改革案では理事長に権限や責任が集中している現在の体制から、外部有識者らの経営委員会が資産構成割合などの重要事項を決める合議制にする組織改革などが盛り込まれています。

最近の年金運用についての感想

 年金資金を株式によって運用することについて、資産運用にくわしくない人からすれば不安になることはよくわかります。ただ、少子高齢化で年金徴収額が減少していくからには不足分を運用収益によって賄うしかなく、日銀によるマイナス金利政策や長引く不況によって利回りの低下した国債による安全的な運用ではおぼつかなくなっていくのも事実であります。

 この先も今までと同様の運用成績を残せるかは未知数であり、絶対損失しないとは言い切れませんが、運用している人もプロなので任せるしかないのかなと思いました。

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