株とか経済の話題を扱います。たまにご飯。
某銘柄が証券会社が目標株価を上げたことによって爆上げしており、出来高をともなって上昇したことから投資チャンスかと思い財務分析をしてみました。年末の閑散期でありながら、出来高・売買代金ランキングに連日ランクインしており、ROEも10%以上あるので期待したのですが、ここでROEだけ見てると危ないという話を思い出しました。
ROEとは株主資本利益率のことで、企業が株主から預かっている資本金をどのくらい効率良く運用しているのかを表す指標です。財務諸表の数値を使って次のように計算します。
または次の計算式でも求めることができます。
これは企業が株主から預かっている出資金を何%の利回りで運用しているのかを表しており、ROEが高いほど効率的に運用できているということになります。
ROEに明確な基準はありませんが、10%以上の企業であれば効率的に株主からのお金を運用しているといわれています。先ほどの銘柄ならば優良企業であると言えます。
ROEが高いことは良いことなのですが、注意しなければならないこともあります。それは負債、いわゆる企業の借金についてです。例えば、純利益1000万円、総資産2億5000万円の会社があるとします。この会社に2億円の借金があった場合、自己資本(純資産)は5000万円となるので、ROEを計算すると、
で20%になります。この数字だけを見れば優良企業に思えます。
ここで、有利子負債依存度を計算してみると、
となります。一般的に有利子負債依存度が50%を超えると、金融機関は危険水域とみなすようなので、この場合は完全にアウトです。
借金がゼロであれば財務は健全であるといえるのですが、この場合はROEが低くなり株主から預かった資金を有効に活用していないとも言えます。
製造業のように設備投資にお金がかかる銘柄は有利子負債が多い傾向があり、新しく工場を建てるために一時的に有利子負債が膨らむこともあるので、一概に借金が多いことが悪いとは言えません。
銘柄の業種によりますが、有利子負債が30%以下であれば財務が健全であるとみなされるようです。
高ROE銘柄で失敗しないためには有利子負債について調べなければなりませんが、毎回有価証券報告書の数字を拾って電卓で計算するのも結構わずらわしいものです。
Yahoo!ファイナンスなどの株式情報を提供しているサイトなどにROAがあるので、これを使うとよいでしょう。ROAとは総資産利益率のことであり、次のように計算されます。
高ROEなのにROAが極端に低い場合、負債が大きく金利負担が大きい銘柄になります。1~2%程度で普通、5%前後だと良い銘柄であり、10%以上だとかなり優良であると言われています。当然、ROAの値が大きいほど財務は健全であると言えます。
ROEで銘柄をスクリーニングする場合はROAの値も同時にチェックし、投資する際のリスクを減らすことに役立てるようにしてください。