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2月16日から日銀が民間銀行の当座預金に対してマイナス金利を導入しましたが、一般の預金者が預けているお金の金利が引き下げられたり、国債の運用利回りが低下するばかりで、景気刺激策としての効果がまだ表れていません。
「マイナス金利」という言葉の響きのせいか、預金が目減りしてしまうのではないかと危惧する人が続出し、「これからはタンス預金じゃ!」と言わんばかりに家庭用金庫がバカ売れするという事態を招いております。
本来マイナス金利政策というのは、銀行が日銀に預けているお金に対してマイナスの金利を適用するものであって、個人の預金が目減りするというようなことはないものです。
しかし一部で指摘されているように、銀行口座の手数料があるため実質的には個人預金に対するマイナス金利の導入であるなどとも言われています。
普通預金の金利が0.001%ですからねぇ・・・。100万円預けてもらえる利息が年間100円ですよ。うっかりコンビニATMなんか使おうものなら、手数料で108円もかかっちゃう。銀行口座なぞ貸金庫だと思え、という冗談もでてくる訳です。
日銀は民間銀行が国債ばかり買って融資を増やさないので、金利をマイナスにして国債を保有していると損失が発生する状況にしました。にもかかわらず、保有していれば損失が出るとわかっている国債をさらに買い進める動きが広がっています。ブルームバーグの試算によるれば、期間2年以上の国債残高の4分の3程度は利回りがゼロ%以下だそうです。
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これは、一般の預金者のようにタンス預金ができないので、損失が出るとわかっていても現金を保有しておくより管理コストが低いことがあげられます。また、金融機関同士で資金を融通しあう際に、不動産などよりはるかに手軽に現金化できる国債が担保として便利であることも理由であるようです。
また、今後もマイナス金利が進むとすれば国債価格上昇するので、仮にマイナス金利で買っていても購入時の価格より高く売却できることを期待しているのかもしれません。
日本経済は長らくデフレから脱することができていませんが、設備投資などをしてももうかることが期待できなければ資金需要がないということなのかもしれません。こちらのページを参考にしましたので、よろしければ併せてお読みください。
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国債の利回りがマイナスになったことで、預金を国債で運用していた民間銀行などは収益悪化を招くと予想されていますが、その中でも特に影響を受けそうなのがゆうちょ銀行だと言われています。
ゆうちょ銀行は約200兆円の資金を運用していますが、そのうちの4割は国債です。また、業務規制があるために民間の銀行のように融資によって利鞘を稼ぐことができないため、国債からの利息収入に大きく依存しています。
そんな中、郵政民営化委員会は9日にゆうちょ銀行の預け入れ限度額を1000万円から1300万円に引き上げる改正案を了承しました。これは、昨年末から金融庁と総務省が関係政令の改正手続きを進めていた案件であり、運用資金が増えることになるのでしょうが、なんともタイミングが悪い。資金を集めてどうするんだという心配の声はもっともです。
ゆうちょ銀行さんサイドも国債比率を下げるために、去年の段階からいろいろと手を打ってはいたようです。ゴールドマン・サックス証券の前副会長である佐護勝紀氏を市場運用のトップに採用したり、三井住友信託銀行・野村ホールディングスと合弁で資産運用会社を設立するなど。
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ただ、あんまり芳しくない感じです。
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現代ビジネスの記事はちょっと煽りすぎなんじゃないかなと思うのですが、元郵便局であった頃のイメージで安心して預金している人からすれば、リスク資産で運用するとこに不安を覚える人もいるかもしれません。
ただ、巨額の資金と全国に展開されている強力な郵便局ネットワークのせいで、郵政民営化委員会が融資業務を認可する可能性が低いと見られており、資金調達コストを賄うためにはどうしても利回りの低い国債から別の運用先を見つけなければならないのも事実です。
今後のゆうちょ銀行の資産運用に注目したいと思います。