伊勢志摩サミットにおいて南シナ海問題は解決するのか

 南シナ海での中国のヤンチャが止まらない模様です。2013年頃から埋め立てはじめ、今年に入ってからはレーダー施設を建設したり、軍事拠点化したりとやりたい放題であります。昨年の11月にマレーシアのクアラルンプールで行われたASEAN首脳会議で名指しで批判されたにもかかわらずガン無視です。

南沙諸島埋め立て問題
中国、南沙諸島にレーダー施設建設か 米研究所分析
年内にも「攻撃的軍事力」展開=中国の南沙拠点化警戒-米情報長官

 そればかりか、南シナ海にあるスカボロー礁周辺で測量を行っていることをアメリカ軍が確認しており、新たな人工島を造成するための埋め立ての前兆ではないのかと指摘されています。アメリカ・フィリピン両政府はこうなるのではないかと以前から懸念していたようです。

中国、新たな人工島造成か 「スカボロー礁周辺で測量活動」と米海軍

 これを受けてか、18日にワシントンで行われたアメリカ・フィリピン両政府の戦略対話において、フィリピン空軍の基地5ヶ所をアメリカ軍の拠点とすることで合意しました。1992年にフィリピンから完全撤退したアメリカ軍が、南シナ海を軍事拠点化しようとする中国に対してフィリピンと協力して防衛力を強化します。今回は航空戦力ですが、今後は海軍基地などが追加合意される可能性があるようです。

中国に対抗、フィリピン5基地を米軍拠点に 撤退から一転、防衛協力強化に合意

 日本にとって南シナ海は海外からの輸入品を運ぶための海路です。特に石油の8割を中東から輸入していることから、日本経済の生命線とも言える重要な海域とも言えます。この海域の安定のために、日本は自衛隊が保有しているTC-90練習機をフィリピン海軍に貸し出したりしていましたが、「お前、関係ないやろ」とばかりに中国さんから(#゚Д゚)ゴルァ!!されてしまいました。

中国政府「日本は言動を慎め」 自衛隊機をフィリピンに貸し出しで「いらだち」強まる
中国大使、安倍政権を批判「中国脅威論は危険」

 自国の利益を最大限にするためには多少(?)の理不尽さには目をつむる、中国さんのツラの皮の厚さたくましさには目を見張るものがあります。

今後の南シナ海に対する世界各国の動き

 29日から安全保障関連法が施行されますが、野党からは「戦争法案」などと揶揄されて批判の的となったものの、EUやASEANをはじめ、中東・アフリカなど計59カ国から支持を得ることができたようです。支持国は増加の見通しですが、中国と韓国は難色を示しています。

安保法制を59カ国支持 中東・アフリカも、積極的平和主義に理解広がる 中韓は牽制「疑念引き起こす」「透明性を」

 また、19日にイタリアのジェンティローニ外相はローマを訪れた岸田文雄外相と会談を行い、、安全保障に関する情報共有と連携強化を目的にした情報保護協定に署名しました。会談後の共同記者会見において、ジェンティローニ氏は「東シナ海、南シナ海の問題は、世界的な問題として捉えるべきだ」と指摘しています。

日伊「航行の自由」確認、安保分野で協力強化

 この記者会見では5月初めに安倍晋三首相がイタリアを訪問する予定だとも明らかにされており、5月末に予定されている伊勢志摩サミットの議題において南シナ海問題に言及すると思われる安倍首相が、何らかの調整を行うことが予想されます。4月に広島市で開催する先進7カ国(G7)外相会合でも触れるかもしれません。

 当然、中国が黙っているはずもなく、「サミットで南シナ海問題を取り上げるべきでない」との抗議を行ってきたようですが、日本政府はこれを突っぱねた模様です。アラヤダ、かっこいい。

中国、南シナ海問題取り下げ要求 伊勢志摩サミット議題、日本拒否

 オバマ米大統領も米ワシントンで今月31日から開かれる核安全サミットにおいて、中国の習近平国家主席と個別に首脳会談を行い、南シナ海問題について自制を求めるつもりのようです。かつては中国にべったりだったオバマ氏でしたが、さすがにアメリカ国内の批判を無視できなくなったようで、昨年のASEAN首脳会議同様に強めの姿勢で臨むようです。

オバマ氏、習氏と会談へ…「南シナ海」自制要求

 来年の1月にアメリカ大統領選挙に決着がつきますが、ヒラリー氏が当選するようだとまた中国に甘い対応することになるんでしょうかね。トランプ氏だと強硬路線をとりそうだけど、日本にも厳しいであろうことが予想されており、どっちがいいことやら。

 そう考えるとアメリカ大統領が決まる前の核安全サミット・G7外相会合・伊勢志摩サミットにおいて、ある程度の南シナ海での中国への押さえ込みが形になっていることが日本にとって望ましいのかな、と思いました。できるだけ穏便に解決してもらいたいものです。

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