消費税増税は延期されるのか?

 次は衆参同時選挙なのかという話題がメディアを騒がしていますが、選挙の争点として消費税増税は外すことのできないものであるかと思います。2017年4月に10%まで引き上げられることが予定されていますが、これを延期するか検討しはじめたようです。

消費増税の延期、一部官庁で効果の検討開始=政府関係者

 社会保障に絡んで財政健全化を目指さなければならないという理屈はよくわかりますが、2014年4月に消費税を5%から8%にしたことで個人消費が落ち込み、経済成長率にも影響を及ぼしています。消費税とは、消費をすることに対してペナルティを課すようなものであり、これは当然の結果であるといえます。

 自民党の内部でも意見が割れているようですが、安倍首相は16日の国際金融経済分析会合において「財政再建も大事だけど、経済が失速したら元も子もないね」と消費増税の延期の可能性を示唆しています。選挙前だから有権者に良い顔してるんじゃないの、といった声もありますがどうなるんでしょうねぇ。

安倍首相、増税先送りも選択肢
麻生氏「今はがんばりどころ」 予定通りの消費税再増税を示唆

国際金融経済分析会合

 さて、16日から国際金融経済分析会合がはじまりました。ポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大教授やジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授などアメリカからもお偉い有識者の方が参加し、世界経済の情勢などの意見交換を行っています。5月の伊勢志摩サミットの前哨戦と位置づけているようです。

 2回目となる17日夜の会合で、3%台前半の世界経済の成長率は歴史的にみて高いと指摘、日本の経済政策については財政を持続するために消費増税が必要であると提言しました。

ジョルゲンソン氏、消費増税必要と提言 国際金融経済分析会合

 これに対し、スティグリッツ氏は初日の会合において日本の消費増税の延期を提言しています。また、ノリエル・ルービニ米ニューヨーク大教授は18日に日本外国特派員協会おいて「すぐに中止を発表すべきだ」と述べています。

スティグリッツ氏「消費増税すべきでない」 国際経済分析会合
金融危機予測の米教授「消費増税すぐに中止を」

 3回目となる22日の会合では、ポール・クルーグマン氏が意見を述べる予定です。

財政出動

 今回の会合でもうひとつ重要なポイントがありまして、日本政府に対して財政出動して需要を刺激するべきであるという提言がなされたことだと思います。

スティグリッツ氏「今のタイミングで消費増税すべきでない」 首相に伝える
スティグリッツ氏は日銀の量的質的緩和政策については「限界に達している」とし、財政政策で需要を刺激すべきだとの考えを示した。

米ノーベル経済学者が「消費税引き上げる時期ではない」と安倍首相に直言 スティグリッツ氏「経済情勢の変化に順応しなければならない」と
日銀の金融緩和策も「限界に近い」とし、政府に追加的な財政政策をとるよう促した。

 先日、ECBが追加の金融緩和を行いましたが、これは過去に大規模な金融緩和をしたにもかかわらず、ユーロ各国の物価指数が低下しデフレ経済に陥っているからであり、追加緩和をしたものの効果があるのかは不透明であります。過去の日本の動向を振り返ってみれば、あまり効果を期待できないかと。

 2月に上海で行われたG20でも「金融政策だけではデフレ脱却ができないので、財政出動を行うべし」との共同声明が出されており、IMFも需要刺激策をとる必要があると警告しています。

IMFが警告、世界経済の破綻間近
世界は経済破綻のリスク増大に直面。カタストロフィーを回避するには、各国首脳らは需要刺激策を採る必要がある。IMFのデビット・リプトン筆頭副専務理事の声明をフィナンシャルタイムズ紙が報じた。

 安易な財政出動は財政への信認失墜につながるとの反対意見も多いのですが、デフレ経済からの脱却のために財政出動が必要なのではないか、という意見が日本政府関係者からもぽつぽつと出始めているようです。

政府が5兆円規模の補正予算を検討
政府内に景気失速懸念、10兆円規模の景気対策の声も

 日銀の金融政策が原因で、現在の国債の金利はマイナスになってしまっています。これは政府の金利支払いの負担が減っていることを意味しており、財政出動をするのに良い機会であると言えます。

 消費増税延期や財政出動はともかく、まずは5月中旬に発表される2016年1-3月期の国内総生産(GDP)の動向を確認してから、という見方が大勢を占めているようです。これがマイナス成長だった場合は2期連続となってしまうので、注目されるでしょうね。

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