中国は全人代で掲げた目標を達成できるのか

 今月16日に中国で全国人民代表大会が閉幕しましたが、いろいろと揉めたようですね。黒竜江省省長が「炭鉱労働者の給与未払いは皆無」と発言してデモされたり、私服を肥やしていることを批判されたくないばかりにビール腹の写真を撮られた地方幹部が女性カメラマンを罵倒したことでネットで炎上したり。

 外国製の高級ブランド腕時計を指して「この腕時計は38万元(約650万円)だ」と発言した企業トップもネットで炎上した模様です。性能に差がなくともブランド価値によって高収益を叩き出しているアップルを目指すため、「我々も早急に高級ブランドを育成するべき」と提言したかったようなのですが、バブル崩壊や経済の失速により将来の不安を抱える庶民の神経を逆撫でしたみたいですね。

中国、人民の蜂起が全国で勃発…共産党一党独裁崩壊の開始か、批判運動が先鋭化

 以前から金盾によってネットを検閲していた中国共産党ですが、習近平国家主席の辞任を求める匿名の公開書簡を掲載したニュースサイトの幹部ら4人が行方不明になっているなんて物騒なニュースがでてきました。反発は覚悟の上なのでしょうか、ものすごい強引です。

習氏に「辞任要求」のニュースサイト、幹部ら4人失踪 中国

 また、習近平氏の立場を脅かすのは中国国民だけではないようです。党の規律検査委員会の王岐山主任が前を歩く習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め話しかけるという、主席の権威をないがしろにする軽薄なる行為をとったとか。腐敗摘発により政治実績を積み重ね、党内で権勢を振るった王岐山氏が習近平氏をしのぐ陰の実力者にのし上がったと指摘されています。

習近平氏よりも格上の実力者が浮上してきた 頓挫した「独裁者」への道

中国が日本に通貨スワップを求めているという噂

 経済の失速により外貨が流出し続けている中国ですが、日本に通貨スワップを要請しているのではないかとの指摘がでています。噂の域ををでませんが、キャピタルフラトによる人民元安を買い支えるだめに外貨準備が急速に減少しているのは事実です。

 また、中国の外貨準備はすぐに現金化できるアメリカ国債などではなく、他国への巨額融資などに割り当てられている可能性があり、見た目の額ほど通貨防衛に使える外貨準備がないのではないかとも指摘されており、噂といえども信憑性が高いのも事実です。

中韓、通貨危機でスワップ懇願 もはや日本に頼るしかないほど外貨準備が大幅減

中国の過剰供給問題

 中国はリーマン・ショックによる世界経済の不振に対応するために、2008年11月に4兆円規模の景気刺激策を打ちましたが、これをきっかけに鋼材・造船・セメントなどのいろいろな業界で過剰な設備投資が進んでしまい、企業の収益を圧迫しました。

 これをカバーするために、国内で使いきれない分を輸出で叩き売っています。特に、中国通関統計によれば2015年の鋼材輸出量は1億1240万トンにまで増大したそうで、これは日本全体の生産量を超えるほどの規模だそうです。結果、世界中で鋼材の価格が下落、これが鉄鉱石の価格にまで影響を及ぼしたことで世界中からの批判を浴びています。

 当然、中国もこれを受けて全人代で構造改革を行うことを発表しましたが、旧式で効率の悪い設備といえども雇用の確保のためには更新に踏み切れず、世界中の顰蹙を買いながらも輸出を続けているのが現状です。

世界が大迷惑…中国の鋼材「たたき売り」 それでも止めない雇用確保の“お家事情”

 アメリカもさすがにこの状況を静観できなくなったようで、電話会談にて過剰な生産設備の削減を急ぐよう要請したと報じられています。財政出動を伴う景気対策の実施も求めたそうですが、人民元安を買い支えて通貨防衛している中国にその余力があるのかは微妙なところです。

米財務長官、中国に景気減速長期化を警告 過剰生産の削減要請

 先日行われたG20において「財政政策の機動的な実施」 について共同声明が出され、今月の国際金融経済分析会合で日本に対してスティグリッツ氏が財政出動をするべきであると指摘するなど、世界的な需要不足が問題であるのかもしれません。

日本のインフラ輸出との競合

 一説では過剰供給問題を解決するためには600万人をリストラしなければならないとも言われており、失業者が大量出る可能性のある国内の業界再編に中国は手をつけたくないはずです。最近は中国が高速鉄道や発電所の受注を獲得するニュースを頻繁に耳にしますが、過剰供給問題のひとつの解決策なのかもしれません。

日本参加事業に中国が進出…ミャンマー経済特区
マレーシア高速鉄道、中国が日本に先手か―英紙
中国企業、スコットランドのインフラ建設受注=1.6兆円投じ高速鉄道など整備―英メディア

 最近ではイントネシアの高速鉄道の受注競争で日本が負けてしまったことがありましたが、大々的に着工式を行ったものの、書類の不備などで工事がはじまっていなかったりします。中国との受注競争では、政府保証をつけなかったり、無理な建設予算・工事日程などで対抗されて不利になることが多いですが、信頼性の高いインフラを提供することで受注を勝ち取ってもらいたいものです。

中国の変わり身の早さは世界最速ーインドネシア高速鉄道起工式から明日で2カ月、工事開始はまだ
インドネシア高速鉄道は損失など出ない!運用で利益出る=中国報道

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