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2月25日に予定されていた鴻海によるシャープの買収交渉ですが、偶発債務を精査する必要があるとの鴻海側からの申し出により契約締結は延期、とうとう1ヶ月が経ってしまいました。3月末に返済の必要のある5100億円の融資の借換期限を迎えることもあり、交渉が長引くことで部品の納品遅れや数量の制限といった事態を招きかねないのではないかと心配するシャープ幹部もいるようです。
今月6日の時事通信の報道では、偶発債務を精査した結果、買収の枠組みを大きく変更する必要はないと報じており、いろいろ揉めはしたもののこれで一件落着なんだと思ったものです。約3500億円の偶発債務は実際には300億円程度でとどまり、第三者割当増資などで計4890億円の出資を受け入れ、メインバンクのみずほと三菱東京UFJ銀行が保有する計2000億円のシャープの優先株を1000億円で買い取ってもらう予定でした。
ところが19日から22日にかけて報道各社から、今後の財務リスクを理由に鴻海側が出資額の引き下げを申し出てきたというニュースが出されます。3月14日以降に台湾でシャープの高橋興三社長・銀行団・鴻海の郭台銘董事長が集まり会談を行い、その中で提案されたようです。
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ニュースの日付や報道機関によって内容や数字に多少の違いがありますが、銀行団が保有する優先株の減額、再建支援の手付金として即座に支払うとしていた保証金の減額、今月末に返済期限を迎える5100億円の銀行融資をロールオーバーしたものの金利引き下げなどを鴻海から迫られたようです。産経新聞によれば、産業革新機構が提示した買収金額である3000億円を下回るのではないかとの指摘まででてきました。
これに対してシャープやみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行は反発しました。特に、銀行団が保有する1000億円のシャープ優先株を一時は鴻海が買い取りを拒否したなんて話もあったそうで、優先株の放棄を求めていた産業革新機構案を蹴って鴻海側についた銀行団はどう思ったんでしょうね。今月末の返済期限を数ヶ月延期することまで検討したようですが。
最終的にシャープと銀行団の反発を受けた鴻海は、保証金は予定通りに提供、主力銀行が保有する優先株1000億円分の買い取りも実施する方針に再考したようです。これにより出資の減額は1000億円程度にとどまったことになります。このままいくんでしょうか。
今回、鴻海は偶発債務による将来の財務リスクを理由に出資金額の減額を提案してきました。鴻海側の主張によれば、損失リストは契約締結の直前に出されたものでああるとのことです。一部有名ブロガーさんも、シャープが直前までこれを隠してものであり、悪質であると主張しています。
確かに過去にはオリンパス、最近では東芝の粉飾決算が世間を賑わせたこともあり、名の通った超有名企業であっても注意する必要があることはよくわかります。決算前にグレーな会計技術を駆使してなんとか株主総会を乗り切るという話もたびたび耳にするものです。一連のシャープの偶発債務に対して一部のメディアはこれを「隠し負債」などと表現もしています。
ただ、偶発債務というものは数字として決算書に表れないものの、将来に損失が出ることをしっかりと明記することが法律で決まっています。今回の買収のために鴻海は財務・法律・会計の専門家を集めてシャープの財務内容を精査しており、なにか問題があれば事前に気付いたと思うのですよ。産業革新機構の調査でも粉飾決算の話はどこにもでてきていないし。
それにもし粉飾決算をしているのだとしたら、それを世間に公表したほうがシャープを安く買い叩たたけるように思うんですよ。偶発債務に関する財務リスクの話は鴻海が出資額を引き下げるイチャモンなんじゃないんですかねぇ。銀行借り入れの返済期日が近づいているのにシャープさんサイドから全く危機感が伝わってこないことについては同意します。
台湾でも、今回の買収案件に対してドラマ「半沢直樹」を引き合いに出し「シャープは無責任すぎる」と批判しています。「優秀な社員、無能な経営者」という日本の組織の問題は理解できないとのことです。どんだけ人気あるんだよ、半沢直樹。
シャープの崩壊で再び見えた、日本社会の「無責任」な構造=台湾メディア
銀行借り入れの返済期日が近づいていることで、一部ではシャープが倒産する確率が最大40%まで上昇していると報じています。スタンダード・アンド・プアーズはシャープの長期会社格付けをCCC+からCCCに引き下げています。
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また、買収後の家電のサービス体制が不透明であることから、家電量販店でシャープ製品を薦めづらくなっているといった弊害もではじめているようです。
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今回の買収案件のもう一方の出資者である産業革新機構ですが、もし鴻海との買収交渉が破談になったら俺のところに来いよ、とアナウンスしています。あらやだ、男前。
特に、もともと鴻海はシャープの液晶技術にしか興味がなく、家電やロボット、複写機事業でのシナジー効果が期待されていなかったということもあり、鴻海でこけて産業革新機構による家電業界の再編とともに再建したほうがよいのかもしれません。
2012年にも鴻海は約670億円のシャープ株を第三者割当で引き受けることで合意したものの、シャープ株の下落を受けて引き受けなかったりしたこともあったので、この先どうなるかはわかりませんが、そろそろ大詰めを迎えるのでしょうか。