チャイナショックによる日中企業に対する影響

 先日、2015年の平均年収ランキングが発表されまして、上位20位をマスメディアと商社で独占していて話題になりましたが、三井物産、三菱商事という日本を代表する大手商社が決算で赤字に転落するというニュースが舞い込んでまいりました。原因はチャイナショックです。

チャイナショックで大手商社決算に大異変 三井物産、三菱商事が赤字転落

 大手商社は90年代に海外のガス田や金属鉱山の権益取得を本格化させたことにより、2000年代の資源価格高騰時には好決算を叩き出したのですが、最近の中国経済失速により商品市況が低迷、保有資産の評価額の下落により減損処理を迫られることになりました。

 これに対して、資源投資から距離を置いていた伊藤忠商事は最終利益が3300億円と最高益を更新する見込みのようで、今期の最終利益が総合商社大手で首位となった暁には全社員に臨時ボーナスを支払うつもりのようです。ただ、伊藤忠は中国最大の国有複合企業CITICとの資本提携で約6000億円を出資しており、チャイナリスクとまったく無縁という訳ではないようです。

 同様にチャイナショックによりダメージを受けたのが建設機械大手の日立建機で、489人が早期退職優遇制度に応募したと発表しました。リストラ費用として約60億円を計上する予定のようです。こちらはインドネシアなどの新興国にも販売しているので、中国経済が不調のままでも新興国の経済が復活すれば盛り返せるかもしれません。

日立建機、500人近くが早期退職 中国や新興国で販売が苦戦

 さらに、過剰生産により価格が暴落していることで世界中から非難の的となっている中国鉄鋼メーカーですが、当然その煽りを受けた神戸製鋼所、新日鉄住金、JFEホールディングスも業績予想を下方修正しています。ルー財務長官から過剰な生産設備の削減を急ぐよう要請された中国の李克強首相は、全人代閉幕後の記者会見で、鉄鋼や石炭、造船、建設資材などのゾンビ企業の淘汰を進めるとコメントしましたが、600万人の失業者が出る可能性を指摘されており、本当に実行できるのか疑問視されています。大丈夫なんでしょうか。

“中国ビジネス”が裏目に… 減益・赤字転落に見舞われる日本企業が続出
米財務長官、中国に景気減速長期化を警告 過剰生産の削減要請

中国国内の企業はどうなっているのか?

 中国の販売に力を入れていた企業が軒並み決算に打撃を受けていますが、当然日本企業だけがダメージを受けている訳ではありません。中国南部の江西省での鉄道用鉱山における暴動をはじめ、各地で暴動が起きている模様です。

ウソで固めた「中国経済」大崩壊?空前の倒産ラッシュ、各地で発生する「報道されない暴動」

 微妙に情報の出所が怪しいのですが、先日のBusiness Journalの報道でも黒竜江省で炭鉱労働者ら数千人が未払い賃金の支払いを訴えるデモを行ったとあるので、まったくの嘘ではないと思われます。その証拠に、各報道機関やBIS(国際決済銀行)の統計などから中国国内の企業・家計の債務が急速に増加しているとの指摘が出てきています。

新興国「借金ランク」中韓ワースト1、2位 企業・家計の債務が急拡大

 中国企業の運転資金にも影響が出始めており、資金繰りのために高コストでリスクの高い貸し手に頼らざるを得ない状況に追い込まれているようです。売掛債権を顧客へ支払うまでの期間が延び延びになっており、銀行に融資を求めても焦げ付きを恐れて貸し付けに及び腰なんだとか。

中国企業の資金繰りひっ迫、ネット金融依存強める

 中国人民銀行はG20閉幕直後に預金準備率のを引き下げを行っています。これは、銀行が中央銀行に強制的に預ける預金を減らして融資に回せる資金を増やすという金融緩和政策です。にもかかわらず、銀行が融資の焦げ付きを恐れて資金を貸し渋るという、かつて日本でも貸し渋りで中小企業がバタバタ倒れた状況が今の中国で起き始めているのではないかと思われます。

 リンク先の記事では、韓国が景気回復策として不動産市場の活性化を狙った住宅ローン規制の緩和を行い、それが原因で家計の債務が急増したとありますが、リーマン・ショック以降の輸出不振を受けて消費やサービスなど内需中心の先進国型経済への移行を図る中国が同様の政策をとる可能性があり、その場合はさらに中国の家計の債務が膨れ上がることは間違いありません。

 経済失速によるキャピタルフライトにより資金の流出の続く中国ですが、外貨準備が毎月1000億ドルベースで減少し続けています。人民元安を買い支えている中国がどのような経済政策を行っていくのか、注目したいと思います。

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