三菱自動車がやっちまいましたな

 先日の記事で「三菱自動車のアウトランダーPHEVが熊本地震の被災地で大活躍!」といった記事を書いてしまった手前、非常にモヤモヤしております。過去にもリコール隠しの前科がありますので、経営体質を改められなかったとして、経営陣の責任が問われるのはまず間違いないかと思います。

 20日、三菱自動車の相川哲郎社長は国土交通省で記者会見を行い、同社が生産する軽自動車4車種の燃費テストにおいてデータを改竄していたことを発表しました。対象は2013年6月から生産しているの軽自動車「eKワゴン」と「eKスペース」、日産自動車向け「デイズ」と「デイズルークス」の計4車種、両社の合計で62万5000台が販売されています。

 タイヤの抵抗や空気抵抗の数値を意図的に操作することで燃費データを改竄していたとのことで、実際の燃費は届け出た数値より5~10%悪くなる可能性が高いと言われています。
三菱自、燃費5~10%不正に上乗せ 軽4車種62万台

 当然、三菱自動車株は叩き売られており、21日には株価がストップ安で取引を終了させています。22日にもリバウンドする気配を見せず、関連銘柄として同社との取引への悪影響が懸念される三菱電機(6503)をはじめ、同社向けシステム開発のCDS(2169)、合成樹脂供給のイクヨ(7273)、電気自動車向け電池を供給するジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)も軟調となっております。2012年に株価を下支えていた節目を思いっきり突き抜けてしまったので、今後の賠償問題なども相まってさらに下落する可能性もありますね。
三菱自が燃費不正、国交省が立ち入り検査-株価はストップ安

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 記者会見から一夜明けた販売店には顧客からの問い合わせが殺到し、「デイズ」「デイズルークス」を扱う日産販売店は読売新聞の取材に対し、「ほとんど詐欺」であるとコメントしています。特に同2車種は燃費を売りにしていたことも影響しているようです。
三菱自に苦情殺到、憤る販売店「ほとんど詐欺」

 影響を被るのは販売店だけではありません。岡山県倉敷市にある主力工場の水島製作所では軽自動車の生産停止が長期化する恐れが出てきています。2015年には生産の3分の2が軽自動車であり、生産停止が長引けば雇用にも影響を及ぼすことは必至です。
三菱自水島の生産停止長期化も 地元の雇用に影響

 4車種の燃費データ不正の問題が発覚した当初から、ネット上では「ほかの車種でもあるんじゃね?」との噂が流れておりましたが、期待を裏切らずにほかの車種においても違法な方法で試験を行っていたことが明らかとなっております。違法な方法で行っていた理由について、時間が少なくてすむためだった可能性が高いと言っていますが、いくらなんでもいかんでしょ。
三菱自、4車種以外も“違法な方法”で試験
三菱不正 4車種以外でも…ユーザー戸惑い

発覚の経緯

 今回問題となった4車種は、日産自動車と三菱自動車が折半出資で2011年に設立した合弁会社「NMKV」で共同開発したモデルです。問題発覚のきっかけは、2015年に新型車の開発を日産自動車が主導することに決まり、現行の「デイズ」「デイズルークス」の燃費を測定したところカタログの値から大きく乖離、日産自動車が三菱自動車に調査を申し入れたことで改竄が明るみになりました。

 この不正発覚の特に問題であると思うのが、日産自動車が再測定しなければ改竄が表沙汰にならなかった事実です。かつてリコール隠しをしたことで消費者に不信感を与えた企業体質が10年以上経った今でも改善されていないのではないかとの疑いがあります。
日産が軽自動車の開発を始めなければ、三菱自の不正は隠されたままだった

 三菱自動車は昨年の11月に新車開発の遅れを理由に開発責任者を事実上の懲戒解雇にしたことで、「業界でも珍しい」「厳しすぎる」と騒ぎになった経緯があります。低燃費化目標を掲げた新型者開発のスケジュールの遅れが解雇の建前でしたが、不正発覚を隠蔽しようとする体質が何ら変わっていないと批判されても仕方がないと言えます。
三菱自動車、新車開発の遅れを理由に管理職を「クビ」 異例事態に業界内で波紋広がる

今後どうなる?

 これを受けて、日産は軽自動車の自社生産を検討するのではないかと言われています。日産にとって軽自動車は新車販売の3割を占める主力商品であり、2014年の株主総会でカルロス・ゴーン社長が軽を自社生産すると発言したことに対して、三菱自は生産減を理由に反発した経緯があるので可能性は高いかと思われます。

 軽のノウハウがないために投資を抑える目的ではじめた協業でしたが、予想外に高い出費になってしまいましたね。一方、日産向けの軽を生産することで工場の稼働率を支えていた三菱自にとっては大きな痛手になるんでしょう。自業自得ですが。
日産が「軽」自社生産を検討 三菱自不正で不信感、協業解消に発展も

 タイムリーなことに、アメリカで排気ガス規制逃れで問題となっていたフォルクスワーゲンが、補償金を支払うことで米当局と合意したというニュースが入ってきています。まだ完全に解決した訳ではないので報道機関により情報がまちまちですが、排ガス不正の影響があるとされる48万台以上について、修理・買い戻し・賠償の費用が少なくとも100億ドル(約1兆1000億円)の見通しだそうで。
VW、米国側と排ガス不正善後策で合意-費用100億ドル超か
VWが補償金支払い合意か 米顧客に55万円

 これは問題解決の最初の一歩であり、このほかにも訴訟を抱えているようですが、販売数量でいえば三菱自よりはるかに大きいVWでさえこれですからねぇ。22日時点の時価総額が5000億円弱の三菱自にとっては相当きついんじゃないでしょうか。

 かつてリコール隠し問題をきっかけに経営が悪化した際には、三菱重工業、三菱商事などに「優先株」を引き受けてもらことで経営再建をしてきましたが、今回は豪華客船で大損失を出した三菱重工業、資源価格下落で業績の悪化した三菱商事、ともに苦しいんじゃないでしょうか。
三菱重工、豪華客船で払った高すぎる授業料
沈む三井物産、三菱商事、独り勝ち伊藤忠「社長続投」の自信

 不正を行った三菱自はもちろんですが、データを自己申告に頼っていた国土交通省にも批判があり、、データをチェックする仕組みが不十分だと判断したことから試験方法を見直すと発表しています。具体的には、データの実測値を提出させたり、測定試験の一部に国の検査員の立会いを検討しているようです。
車の燃費試験、方法見直しへ 三菱自の不正受け国交省

 今回の問題は許されることではありませんが、不幸中の幸いだったのが人命に関わる技術ではなかったということでしょうか。ただ、一事が万事ということもありますので、再発防止のためにこの問題に全力で取り組んでもらいたいと思います。

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