マイナス金利により銀行株が続落

 先日、景気刺激策として日銀がマイナス金利を導入しましたが、これが収益を悪化させるのではないかとの懸念から、銀行株が軒並み続落しました。三菱UFJは株主優待でピーターラビットのタオルが貰えるそうですが、なんとも高いタオルになってしまったようです。

 先行してマイナス金利政策を行っているスイスですが、年金基金が国債による運用では期待している利回りが望めないためリスク資産にシフトしたところ、最近の金融市場が芳しくないことから損失を抱えているのではと指摘されています。生損保株にも同様の懸念があるため、本日は銀行株以上に叩き売られています。

 今回の追加緩和は、今まで貸出業務に腰の引けていた銀行に対する懲罰的な政策という指摘もありますが、デフレで民間に資金需要のない日本で積極的に貸し出しをすべきという論調は、かつてバブルで不良債権をたんまりと抱えた経験のある銀行にとって、少し酷なのではないかなと思います。むしろ先日の日銀の決定により銀行収益が悪化し、中小企業への貸し出しが滞る可能性もあります。

 先日の記事で、銀行の貸出ローンや住宅ローンの金利がマイナスになり、元本から利子を引いた金額を返済する状態になっていると述べましたが、どうもごく一部の話のようです。

“預金者を罰する”マイナス金利で起こること

 日銀も1月29日に先回りして、一般の個人の預金はマイナス金利にならないと説明していますが、欧州の金融機関の収益は圧迫されてしまっているため、住宅ローンやATMなどの手数料の引き上げを検討しているようです。日本でも早速預金金利が引き下げられています。

マイナス金利で銀行が預金金利引き下げの動き

 日銀は物価上昇率2%を目指して今回の追加緩和を行ったのですが、景気の刺激に効果があるのかというといささか疑問であります。昨年、オランダの金融機関が預金金利がマイナスになったらどうするかどうするかアンケートをとったところ、「現金を引き出して、安全な場所にしまう」という回答が33.3%にものぼったそうです。電子マネーで決済、などという時代にタンス預金の復活とはなんたる皮肉。

 貸出についても欧州ではわずかに増えただけで、ドイツやフランスの短期国債が利回りがマイナスにもかかわらず、わずかなサヤ取りのためだけに買われているのが現状です。日本でも長期金利が一時0.05%と過去最低を更新しております。

長期金利 一時0.05%に 過去最低を更新

 結局、マイナス金利を導入した欧州の国々を見る限り、通貨安に誘導されるぐらいしか効果がないのではないかと思われます。その場合でも、スイスのように金利がマイナスにもかかわらず、導入前より通貨高に振れてしまっている例もあるので、ここからさらに円安に進むのかは不透明です。

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