石油、下げ止まらない

 先日の記事で原油のWTI先物が1バレル=30ドルを割り込んだことを話題にしましたが、この下落の原因はどうやらイラクに対する欧米の経済制裁の解除が背景にあるようです。16日にウィーンにおいてアメリカ・EU・イランの各外相が会談を行いますが、核兵器開発などをきっかけにはじまった経済制裁が解除される見通しのようです。

イラン制裁解除、大詰め…核合意、米EUと3者会談へ
イラン市場開放に商機 制裁解除へ日本企業期待

 原油に依存した経済であるイランは経済制裁により欧州連合などへの原油の輸出を停止されていましたが、制裁解除によりこれが復活します。多額の負債があり金融恐慌状態のイランは原油輸出を2割拡大させる計画であり、これが原油価格を引き下げたと考えてよいでしょう。

 Wikipediaの情報ですが、欧米原油市場におけるイラン産原油の穴埋めはサウジアラビア産でまかなわれているそうなので、ただでさえ原油価格が下がっている上にイラン産の原油が出回るのはサウジアラビアにとって手痛いはずです。宗教的対立の側面ばかり取り上げられていますが、これらのことが年明けのサウジ・イランの国交断絶に影響を与えているのかもしれません。

イランに対する制裁
サウジ・イランの国交断絶、北朝鮮の水爆実験のウラを読む

 先日の記事で原油安によりロシア経済が打撃を受けていることを話題にしましたが、西欧最大の原油生産国であるノルウェーにも中東とアメリカの喧嘩による流れ弾に被弾した模様です。北海からの原油が経済の根幹を支えているノルウェーですが、石油監督局長官がブルームバーグに対し「(国内の石油)業界は現在危機に陥っている。それは否定できない」と述べています。

 ただ、ロシアほどの打撃を受けている訳ではないようで、政府は追加の景気対策の可能性を排除しています。EUに加盟していないノルウェーは独自の財政出動を採ることができますが、昨年提示した予算案にすでに多くの財政出動が盛り込まれており、これが雇用喪失の抑制を促すと見ているようです。

 また、原油安と連動して通貨であるノルウェー・クローネが下落すると見られているので、これが輸出を後押しするとも予測されています。北海に面しているだけあって漁業はノルウェーの重要な産業のひとつであり、日本にも輸出しています。ちなみに、捕鯨推進国のひとつでもあります。

 中国の経済失速と中東・アメリカの全面対決による原油価格下落ですが、世界のあちこちでかなり影響がではじめていますね。南米のベネズエラは輸出の95%を原油が占めているそうですが、こちらも早晩デフォルトするのではないかと予測されています。

 原油輸入国の日本にとって原油安は非常に助かるのですが。ちなみに我が家の家計も助かります。

日本初の自動運転カーはテスラ

 CES 2016において、アメリカのシリコンバレーを拠点とする電気自動車で有名なテスラモーターズが、国土交通省の承認を受けたことにより自動運転を実現するソフトウェアを提供することを発表しました。これにより、日本の公道を走る自動運転車の第1号はテスラということになります。

 テスラが申請を提出した国で日本以外ではすべて承認されており、公道で実用化されている技術のようです。完全自動運転という訳ではなく、今回の機能はサブ的なもので、使うことができるのも高速道路のみであると見られています。

 公道での自動運転の第1号をとられたばかりか、先日紹介した国沢光宏氏の記事でも述べられているように、自動運転技術で遅れをとっていると思われがちの日本ですが、日本の自動車メーカーも負けてばかりはいられないようです。

トヨタが自動運転カーの特許をGoogleより多い1400件以上申請していたことが判明
トヨタは他社の2倍の「自動運転関連の取得済み特許」を保有している

 自動運転というとGoogleをはじめとするシリコンバレーが先行しているイメージが強いですが、トヨタが他の自動車メーカーやIT企業を大きく上回る1400件以上もの特許を取得していた、とトムソン・ロイターが報じています。以外なことに、自動運転カーのテスト走行を重ねてきたGoogleの持ち株会社のAlphabetの取得特許数は26位でした。

 自社の技術をブラックボックス化するためにあえて特許をとらない企業もありますし、特許を持っているからといってそのまま利益に結びつくとは限りませんが、世界的な自動運転技術の流れに対して日本の自動車メーカーも手を打ってきています。欧米に差をつけられていると言われがちですが、がんばってもらいたいです。

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